大学生モモの備忘録

女子大生。愛犬フレンチブルドッグ2匹が大好き!日常の幸せを描きとめていきたい

なぜバレエは「美しく」ないといけないのか NO2

みなさん

こんにちは。

 

前回の続きで、今回も私の研究についてシェアさせて下さい。

 

余談ですが、私のゼミの先生はフランス人のイケメンおじさんです(笑)

私は高校三年生の時、上智大学オープンキャンパスに行き

この先生の模擬授業をうけました。

あふれ出る優しさとイケボに惹かれて、絶対この先生に習う!と

心に誓ったのを覚えています、、、

がむしゃらに勉強した三年間が今を支えていると思っています。

 

それでは、本題に戻ります!

今回は

エドガー・ドガのダンサー画から見る美しさ

エドガー・ドガとジャン・ジャンセンの比較

・まとめ

 

について書きたいと思います!

 

エドガー・ドガのバレエ画から見る美しさ

 

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1875年に描かれた「バレエ教室」は、ル・ペルティエ街にあったオペラ座の練習風景を描いたものです。1873年オペラ座が火事で炎上する前に描かれた貴重な作品。この作品でドガが表現したかったのは、巧妙な踊りのテクニックや、煌びやかな衣装ではなく、ひたすらに練習するダンサー達の姿でした。バレエの華やかな舞台を描くのではなく、その裏にある練習に美を見出しています。バレリーナ達が舞台で輝くためには厳しい練習が必要。その練習の合間に見せるダンサー達の緊張や不安、息抜き、少しつまらなそうにする表情などにドガは目をつけました。ドガはこのダンサー達のもつ「空白」の時間を表現することを大切にしていたと考えます。また、人間ばなれした幻想のような世界を表すバレエの舞台の裏には、ダンサー達の努力や苦悩があることを伝えたいという意図もあったのでしょう。ドガはこの絵の中で、バレエ教師を内面から描くことに力点を置いています。彼に杖を持たせることで存在感を与え、緊張感を感じさせる効果もあります。この「バレエ教室」のシリーズはリハーサルというテーマに沿って何枚も描かれました。それらの絵には3つの共通点があります。一つ目は画家の視点が普通よりも高い位置で描かれていること。二つ目は、画面の前景が途中で切り取られたようになっていること。三つ目は、空間に奥行きを出すために床の線で遠近法を利用していることです。この絵の中でも、全景の左側に2人のバレリーナを配置することで奥行きをだしています。さらに、床の線を緑の壁の前に立つダンサーに向かって狭くすることでも奥行きの感覚も強めています。また、側面に扉を描くことでその奥の空間を見ている人に想像させ、より広い空間の感覚を持たせられます。この絵から、ドガはダンサー達の人間味溢れる自然体に美を見出し、さらにその美しさを誇張するために、見ている人に空間の広さを錯覚させるような工夫をしたと考えられます。

 

 

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 エドガー・ドガの代表作とされる「踊りの花形」。エトワール、または舞台の踊り子とも呼ばれるこの絵は、画家が旅行先のアメリカから帰国した1873年から、頻繁に手がけられるようになる「踊り子」を主題に描かれた作品です。この絵の中で最も目を惹きつけるのは、舞台上で軽やかに踊るダンサーで、人工的な光に下半身から上半身に向かって照らされるダンサーを際立たせます。ドガの得意とした人工光の描写は、この絵では斬新かつ効果的に舞台上のダンサーを引き立たせています。ダンサーの一瞬の肉体の運動や躍動感、ダンサーの衣装の絶妙な動きも工夫されているのが分かります。この絵の中でも「バレエ教室」と同じように画家の視点が高い位置にあります。観客がダンサーを上から見下ろすという大胆な構図により、絵を見た人がまるで劇場にいるかのように感じる事が出来ます。これは日本の浮世絵の奇抜な構図構成に影響を受けた為です。当時のパリでは浮世絵が非常に人気でした。浮世絵も不思議なアングルから対象を捉え、作品の中で人物を切り取ってしまう特徴を持っていたのです。さらにドガと共通しているのは、両者ともに線遠近法を利用していたことでした。またこの絵が描かれた時代、ダンサー達は娼婦と同じような扱いを受けていました。彼女たちはパトロンがいなければ生活ができない存在だとさえ思われていたのです。この絵でも画面奥にはダンサーのパトロンと、出番を待つ脇役のダンサーの姿も描かれていて、舞台上での華やかな世界と、ダンサーの表情からも伝わる現実世界の厳しさのコンタラストが見えます。ドガはこのありのままのダンサーの姿を容赦なく画面の中に描き出しています。「バレエ教室」と同じように、バレエの影の部分に美を見出しています。

 

 二つの作品からも分かるように、ドガはバレエダンサーたちの影、人間味溢れる姿に美を見出し描きだしました。ダンサー達が華やかな舞台び立つ裏での努力や苦悩を人々に伝えたいという思いもあったのでしょう。幼い頃からバレエに親しんだドガだからこそ、華やかな舞台で踊るダンサーの本当の姿をえがいたと考えます。

 

 

 

エドガー・ドガとジャン・ジャンセンの比較

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ドガー・ドガとジャン・ジャンセンのバレエ画には共通点があると考えます。それは両者ともにダンサーの「影」の部分をテーマとしたバレエがを描いていることです。ジャン・ジャンセンは1920年から2003年まで生きたアルメニア人で、フランスで活躍した画家。2003年にはフランスの最高勲章レジオン・ドヌール勲章を受賞。彼は油彩、水彩、デッサン、石版画、銅版画、ブロンズといった様々な技法を用いた作品を中心に発表しました。ジャンセンは、アルメニア人に対する虐殺が行われた小アジアのスールーズに生まれました。彼の心の中にはずっとこの劇的な悲劇が刻みまれていました。彼の初期作品は労苦に疲れた老人や子供たち、粗末な食卓を描いた静物画など、生活に痛めつけられた貧しい人々がテーマでした。このような彼の背景のよって、バレエダンサー達の「影」の部分が描かれるようになったのでしょう。

 

ドガとジャンセンのバレエ画には「影」という共通したテーマがありますが、作品の印象は大きく違います。その違いが生まれる理由は彼らの生きた時代と経験の違いからでしょう。ドガは、バレエダンサーが過酷な扱いを受ける中でも必死に練習する「影」を表現しました。その影を表立って出すのではなく、絵の構図や色使いで表現しました。一方ジャンセンは、自らが経験した悲惨な過去のもとで、ダンサーの苦労や細い身体などの「影」を画面いっぱいに表しました。彼の描く線がダンサー達の気丈な中に見え隠れする、危うさや身体の細さと重なることで見ている人が直接的に「影」を感じる作品になっています。

 

 

・まとめ

 

 バレエがフランスで広まってから、常にダンサー達は「美しさ」を追い求めてきました。その「美しさ」の形や意味は時代とともに変化しましたが、バレエにおいて「美しさ」は必要不可欠な存在なのです。私はこれまでバレエの美しさとは、型通りに踊る、舞台の上で踊る華やかな姿だと考えていました。しかし、ドガやジャンセンのバレエ画で描かれているダンサーのように、ダンサーの「影」の部分にもダンサーの美しさがあることに気づきました。「美」というのは主観的で、見る人の背景にある経験や感性によって左右されます。私達は普段舞台上で踊る煌びやかなダンサーの姿しか見ることはありません。しかし、その煌びやかな世界の裏にあるダンサー達の努力や苦悩が隠れています。ダンサーも私たちと変わらない人間です。人間を超越した存在を表現するために、「影」の部分は必要不可欠だと考えます。「影」の部分の美しさを表現することで、ダンサーが人間と幻想の間の存在だということも示したかったのでしょうか。

 

 

これで、私の研究について語るのはおしまいです。

また近いうちに、新しい研究内容についてシェアできたらいいなあと思っています。

 

最後まで読んでくださってありがとうございました。

 

momo